倉吉土天神(くらよしどろてんじん)

わらべ館コレクション

入手年

1996年

制作

三好 明(備後屋)

寸法

〈天神〉幅370mm×奥行180㎜×高390mm
〈台座〉下段:幅530mm(上辺)×奥行285㎜(上辺)×高130mm
中段:幅410mm×奥行240㎜×高110mm
上段:幅315mm×奥行185㎜×高90mm

紹介

中国地方では、江戸時代後期から昭和初期に至るまで、3月の桃の節句にはお雛さまだけでなく天神を飾り、女児のみならず男児の健やかな成長も祝う風習があり、天神像は人々から「天神さん」と親しみを込めて呼ばれていました。

その風習は、鳥取県内において倉吉、米子周辺の中西部に見られ、天神像の土人形の産地も倉吉と米子でしたが、いずれも現在は作られていません。※

この倉吉土天神は、はこた人形で知られる「備後屋」の屋号を持つ三好家5代目の平吉氏、6代目の三好明氏(当初は先代の「平吉」を受け継ぎ、1990年代本名に戻す。1929~2015)の手によるものです。和紙を混ぜた土を練りこんで型にはめ、焼かずに成型する泥人形の製法を用い、つややかな赤い袍(ほう)の胸には三蓋松(さんがいまつ)と梅が描かれるのが、倉吉の特徴です。頭と手のほか、刀や笏(しゃく)などの装身具も差し込み式になっています。3段の台座の最下段は台形の裾広がり、高欄のある下・中段には狛犬、随身(ずいじん)が置かれ、天神像を頂点とする美しい二等辺三角形の威容を誇ります。

※倉吉ロータリークラブによる復興事業により、倉吉市博物館所蔵の木型をもとに鳥取県産業技術センターが樹脂製の型を3Dプリンタで作成し、その型で人形を成型。はこた人形工房が人形と台座に着色を施こし、2020年の夏に新しい倉吉土天神が完成しました。

ひとこと

天神像は、一般的には上から天神→随身→狛犬の順に配置されますが、当資料を制作した備後屋(三好家)では、随身が手前になる配置を伝えてきました。

展示場所

3階 「ギャラリー童夢」 企画展「ちいさなおおきな天神様」 2021年2月18日~4月11日

参考文献『天神さん人形』木村泰夫著 日貿出版社 平成12年 
調査協力:関本明子氏(倉吉博物館学芸員)