雷雲の子B・C
(写真: 4枚)
(写真: 4枚)
1990年代
制作
小黒三郎
素材
広葉樹
寸法
2点とも 幅18.7cm × 奥行4.7cm × 高19cm
解説
小黒三郎氏(1936~)は、中学校・盲学校・養護学校の教員を経て、組み木デザイナーの第一人者となりました。盲学校時代の1978年に発表した木製の触察教具「触察ボード」は、その優れたデザイン性により、グラフィックデザイン界からも高い評価を受けています。続けて世界的なおもちゃメーカーのネフ社ともデザイン契約すると、教員から独立。自身の会社「遊プラン」を立ち上げ、これまでに数多くの組み木作品を発表しています。糸鋸により一つの板を分解する組み木の特性を生かし、動物を隙間なく組み合わせた平面や立体パズルのほか、ひな人形や五月人形などの節句人形、のぼり人形などが誕生、それらの作品は国内外の幅広い層に親しまれています。
作品の材料にはブナやメープル、オーク、サクラ、トチなどの組み木細工に適した広葉樹から、それぞれの作品のイメージに合う木目や色味が選ばれています。また、着色には安全性への配慮はもとより、木の質感を生かす淡い色の塗料が使用されています。
今回紹介する作品は、小黒氏が約40年暮らした岡山県倉敷市在住の方から寄贈を受けた2点です。厚みが約5cmもあり、一般的に販売されている手のひらサイズの作品とは異なる巨大な組み木です。長く部屋に飾っていたとのことで、変色も見られますが、先に述べたとおり、木目も残した優しい色遣いがうかがえます。稲妻と雨の直線的なデザインは力強さを、曲線の雲の重なりは柔らかさを感じさせ、雲の重ね方はアレンジすることもできます。梅雨時のうっとうしさも和ませてくれるかわいらしい雷雲です。
展示場所
3階「おもちゃの部屋」(2024年8月末まで)
参考文献
- 『小黒三郎の組み木』小黒三郎著 大月書店 1988年
- 遊プラン 「小黒三郎と作品」