風流小金雛 雛段組立ノ図

(写真: 2枚)

(写真: 2枚)

わらべ館コレクション

制作年

幕末~明治初期

(歌川)よし藤

寸法

縦37.5mm×横25.3mm

紹介

江戸時代後期から明治期に刷られた「切組灯籠(きりくみどうろう) 」や「組上灯籠(くみあげどうろう) 」、「組上絵」という紙工作の遊びは、上方(関西)では「立版古(たてばんこ) 」と呼ばれていました。もとは茶室の設計のために作っていた模型に、作って眺める遊びの要素が加わったものです。

江戸時代は、お盆に飾り灯籠を吊るす風習が盛んになり、その影響を受けた「組上灯籠」「立版古」などは、俳句で夏の季語となっています。

灯籠と名がつくものは、実際にろうそくを中に仕込み、絵が回転したり模様が揺らめいたりする様子を楽しみました。また、ジオラマのように芝居や歴史上の名場面、名所などを立体的に表現したものも、完成後に灯を当てて、光と影の演出を味わいました。

組み立てる際は、厚めの紙を裏打ちして切り抜きます。複雑かつ台紙が複数枚にわたる場合は、完成図も描かれていますが、本資料にはそれがなく、のりしろに示された×や△などの記号をもとに貼り合わせます。

この絵の中には、現代人にはあまりなじみのない調度品「犬筥(いぬばこ) 」があります。犬が伏せたような姿をかたどり、上下に開く一対の張子の入れ物です。犬は安産や多産を象徴するので、産室や婚礼の調度品から、近世には雛飾りにも加わるようになりました。

画を描いた「よし藤」とは、歌川芳藤(文政11年〈1828年〉~ 明治20年〈1887年〉)という歌川国芳門下の浮世絵師です。特に組上絵やおもちゃ絵に優れ「おもちゃ芳藤」と称され、色鮮やかで構図の妙が光るおもちゃ絵を数多く遺しました。

風流小金雛 雛段組立ノ図 完成形
完成形

ひとこと

できるだけ余白を残さずに必要な図像を収めるためか、これら組立絵ののりしろは限りなく細くなっています。厚紙などでのりしろを補わないと、組み立てるのが難しい箇所があります。

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展示場所

3階「おもちゃの部屋」 2024年4月中旬まで

参考文献

  • 『紙絵遊びの文化 おもちゃ絵づくし』アン・ヘリング著 玉川大学出版部 2019年
  • 『江戸の遊び絵』稲垣進一編著 福田繁雄監修 東京出版 1993年
  • 『江戸・幕末・明治 おもちゃ絵・遊び絵の世界』河出書房新社 2018年
  • ひな壇ペーパークラフト しん板ひなだん組立の図」品川区立品川歴史館 おうちミュージアム 2024年2月閲覧