「柳屋のお面」猩々、ぬけ、青の鼻たれ

わらべ館コレクション

製造年

猩々、青の鼻たれ1996年 ぬけ1997年

制作

柳屋(二代目 田中謹二、宮子)

寸法

〈猩々〉縦170×横135×高40(mm)
〈ぬけ〉縦170×横135×高40(mm)
〈青の鼻たれ〉縦170×横140×高40(mm)

紹介

兵庫県北部から鳥取県東部にまたがる因但地域では、「麒麟獅子舞」が祭事、郷土芸能として演じられてきました。その麒麟獅子の先触れを担うのが「猩々(しょうじょう)」。猿の化身とも言われる猩々は、赤い装束に身を包み、麒麟獅子を先導したりあやしたりします。

祭事の面は木彫りですが、今回紹介するお面はすべて張り子なので、軽くてこどもが付けやすいものです。かつて駄菓子屋で売られていたものを柳屋の初代田中達之助(1901~1979)が戦後に復元しました。

「ぬけ」も祭の先触れ役として登場する木綿の布袋に穴をあけた顔を表現したものです。

「青の鼻たれ」はその名の通りまぬけな顔つきをしていますが、鳥取東照宮(旧 樗谿(おうちだに)神社)の権現祭でこのお面をつけた時だけは、どんな悪口、罵詈雑言も許されるという特権を持っています。

いずれも裏側を見ると、和紙の反故(使用済みの紙)を使っているのがわかります。木型に和紙を幾重にも重ね付け、膠を混ぜた胡粉を下地として塗り、膠を溶いた染料を数度塗り重ねていきます。その間、状態を見ながら乾燥を繰り返し、面1枚が完成するのに1週間を費やしています。まるで陶磁器のような滑らかで、つややかな質感からは、お面づくりのほとんどを担う二代目謹二さんの丁寧な仕事がうかがえます。なお、赤く染めた麻の緒の前髪は、達之助の長女、宮子さんが染めて切り揃え、奉書紙で貼り付けています。

※柳屋の張り子の麒麟獅子については、「麒麟獅子(張子)」をごらんください。

ひとこと

柳屋は夫婦二人の工房にもかかわらず、初代から86年の間に約100種近くの作品を手掛けました。工房は2015年に看板を下ろしましたが、当館の常設展で、人気の「因幡五狐」など複数の作品を展示しています。

展示場所

3階「みんなのお気に入り」コーナー

オリジナルグッズ「ぬけ」のクリアファイルができました