麒麟獅子(張子)

わらべ館コレクション

製造年

平成元年(1989)

制作

柳屋(2代目:田中謹二、宮子)

寸法

幅10.5cm×奥行22.5cm×高さ12㎝

紹介

麒麟獅子とは、山陰の東部(鳥取県東部から兵庫県北部)において江戸時代から伝わる獅子舞の中心的存在で、おもに一本角の霊獣として表現されています。藩政時代の初期、因幡東照宮(現在の鳥取東照宮)の9月の祭礼行列にはじめて舞われて以降、各地の神社で奉納されるようになると、2月の初午祭、春や秋の例大祭などさまざまな時期に広がりました。行列の際には、あやし役として猩々が付き添っています。

鳥取の郷土玩具の復刻を数多く手掛けた柳屋初代、田中達之助(昭和54年(1979)没)が書きつけた「鳥取玩具」によると、実際の舞で用いられる頭は、ほとんどが桐材ですが、大正時代まで玩具用として作られた多くは松や杉材でした。達之助が昭和30年(1955)にはじめて張子で制作した麒麟獅子は、実物よりだいぶ小ぶりで、こどもがおもちゃとして扱える大きさです。背面にはタコ糸が伸びており、引っ張ると顎がカクカクと動きます。

ひとこと

昭和30年代、田中達之助は麒麟獅子をモチーフにした作品を数点発表。木で作られた手のひらサイズの「板きりん」や、あやし役の猩々とともに獅子が躍る様子を表した「きりん獅子舞」は、当館の常設展に展示されています。

なお、鳥取市など麒麟獅子舞の文化が残る地域のストーリー『日本海の風が生んだ絶景と秘境―幸せを呼ぶ霊獣・麒麟が舞う大地「因幡・但馬」』が、令和元年の「日本遺産」に認定されました。

展示場所

1階 「いっぴん」コーナー(2019年9月末まで)