おもちゃ絵「しん版猫の弥二喜多八」「しん板猫の手ならゐ」

わらべ館コレクション

製造年

2点とも明治初期

制作

「猫の弥二喜多八」
画:守川周重(もりかわちかしげ)。歌川周重とも。
版:辻蔵

「猫の手ならゐ」
不明

寸法

2点とも縦36㎝×横23.5cm

紹介

「おもちゃ絵」とは、おもに江戸時代後期から明治期に刷られ、絵草子屋で売られていたこども向けの木版画を指します。大きさは大奉書の縦二つ切という当時販売された浮世絵の定番と同じ、大判(縦39㎝×横26.5cm)のほか、その半分の中判(縦19.5㎝×横26.5㎝)も上方を中心に販売されていました。

描かれた内容は、食べ物や日用品、乗り物、動物などが数多く描かれた「もの尽くし絵」とも呼ばれる図鑑のようなものに、なぞなぞや数え唄、判じ物(何が描かれているか当てる)などことば遊びを楽しむもの。また、きせかえのように裏に厚紙を貼って切り抜いたり、折り曲げたりする紙工作も楽しめました。現代っ子も遊ぶ双六もおもちゃ絵の一種です。

「弥二喜多八」の絵師の守川周重は、明治の役者絵・芝居絵の第一人者、豊原国周の弟子で、自身も役者絵を手掛けています。おもちゃ絵は駆け出しの弟子がおもな担い手でしたが、中には「おもちゃ芳藤」(歌川芳藤)などの異名をとるおもちゃ絵の名人も現れました。

ひとこと

江戸後期に活躍した歌川国芳(1798~1861)という稀代の猫好きの絵師から、その弟子へと猫のおもちゃ絵が引き継がれていきました。今回の資料のように猫を擬人化した作品は人気があり、現在でも猫ブームの波に乗って、猫だけのおもちゃ絵の展覧会や書籍化など、猫の快進撃が続いています。

なお、おもちゃ絵は遊んだ後に汚れたり破れたりして捨てられるため、後年まで良い状態で残されているものが少なく、現代では貴重な資料となっています。

展示場所

3階「おもちゃ今昔」コーナー(12月末まで)