’89鳥取・世界おもちゃ博覧会30周年記念事業について
ちょうど30年前の1989年(平成元)に鳥取市で開催された’89鳥取・世界おもちゃ博覧会。それを記念したイベントをこの夏わらべ館で2つ企画しました。そのうち1つは7月20日から8月7日まで開催された「おもちゃパビリオン」。木のおもちゃ展、ステージイベント、ワークショップ、工作タイムの4本立てで、おもちゃ作家の遊び心あふれる作品で遊んでみたり、作家本人の指導による工作教室に参加したり、はたまた、すご技のショーやお話を楽しんだり、ゲームやお手玉遊びに挑戦してみたり、と盛りだくさんの内容でした。
今回の木のおもちゃ展の作品は、1点ずつ手作りのもの。「おもちゃパビリオン」は、大量生産でない、作り手の顔が見えるおもちゃとの出会いの場になれば、との思いで企画した事業でした。それらには光や音が出たり、スイッチ一つで大きなアクションがあったりという派手さはありません。けれども、ハンドルを回すとからくりのカムやギア(歯車)などが動き、人形や動物が思いがけない動き方をするおもちゃは、私たちに小さな驚きと微笑みを届けてくれました。
作家自身による工作指導が行われた「工作タイム」では、キットを作る過程での裏話や創作秘話が披露され、ちょっとした工具の使い方のコツが伝授される一コマもありました。お手玉づくりの裁縫では、少しドキドキしながら針仕事にも挑戦しました。
また、おもに土日に開催されたステージイベントでは、ことば遊びに独楽やヨーヨー、シャボン玉のパフォーマンス、人形劇におもちゃショーや紙芝居など、県内外から「遊びの達人」が素晴らしいパフォーマンスを繰りひろげてくれました。
さらに、ワークショップでは、鳥取大学の先生や学生とボードゲームを体験する日があり、コミュニケーションツールとしても効果的なオリジナルのゲームが楽しめました。
そして、8月1日から23日まで開催した博覧会のふりかえり展示では、博覧会に展示され、わらべ館が引き継いだおもちゃに加え、ノベルティグッズ、スタッフグッズ、キャラクター(着ぐるみ)などを展示しました。特に民族色が豊かな人形たちは、現代っ子の目にも珍しく映ったようで、東南アジアや西アジアの衣装をじっと見つめる姿も。
その他、当時の様子が伝わる写真にはオフショットもはさみ、それをご覧になった方から、思い出がよみがえるとのコメントもいただきました。
また、展示初日の8月1日には、小学6年生1名による木のおもちゃ開発途中の発表会を開催、その真摯な取り組みと斬新な発想に、完成への期待が高まっています。
さて、おもちゃで未来を描いた30年前の博覧会の時代から今を眺めると、デジタルゲームの趨勢やAI搭載のロボット登場に大きな進歩を認めるかもしれません。ただ、自然の素材を活用したおもちゃも人の歴史と同じ時を経てなお、私たちを楽しませ続けています。これからもわらべ館ではみなさんとともに、「おもちゃ」の世界を見つめ、追いかけ、寄り添っていきたいと思います。