ゴリプレマスク

(写真: 6枚)

(写真: 6枚)

わらべ館コレクション

制作年代

1980年代

制作者

バウレ族

制作地

コートジボワール共和国

寸法

縦32㎝✕横22㎝×厚さ10㎝

おもな素材

木、紐

紹介

この仮面は別名「プレプレマスク」とも称し、バウレ族の舞踏「ゴリ」に用いられます。「プレプレ」は精霊一家の年少男子を表し、年長男子は「ゴリグレン」、年少女子は「パンプレ」、年長女子は「パン」という名前を持ちます。これらの仮面は、村の重要人物の葬儀や、村が災厄に見舞われた時に行なわれる儀式の舞踏において、定められた順に従って登場します。このプレプレの丸い顔は太陽を表したもの、2本の突起は角を持つヤギやバッファローの象徴とされています。

コートジボワール共和国を含む赤道アフリカ周辺では仮面文化が栄え、地域によっては仮面結社なる組織の存在も知られるなど、仮面が人々の暮らしに深く根付いている様がうかがい知れます。なお、バウレ族が舞踏にこの仮面を用いるようになったのは、他の部族から伝わった1900~1910年代のこととされています。

赤道アフリカにおいて、重要な儀式に用いられる仮面は、おもに樹皮や繊維で作られ、儀礼が終わった後は廃棄されていました。それに比べると、木製の仮面は脇役であり、踊り手個人の所有物であったため、ヨーロッパ人の手に渡りやすく、いわゆる「アフリカの仮面」の印象付けに一役買うこととなりました。20世紀初頭にマティスやピカソ、モディリアーニらがその造形美に魅せられ、キュビズムなど新たな芸術活動へと歩みを進めたのには、アフリカの木彫に触れたことが影響していますが、社会的には上記のような背景もあったかもしれません。

さらに、この仮面のデザインが他のアフリカの仮面に比べ、一般的によく知られているのには、一枚のレコードジャケットが関係しています。今から50年前の1973年10月13日に発売されたハービー・ハンコック(1940~)のヒットアルバム「ヘッド・ハンターズ」のジャケットには、この仮面をかぶったキーボードを弾く人物(ハンコック本人?)が中央に構えています。ジャケットのインパクトに負けず、ジャズ・ファンク・ロックの要素を盛り込んで、新しくフュージョンというジャンルを立ち上げたアルバムとして、現在でも名盤とされています。

ちなみに、ジャケットの仮面は、口の部分が扇型のVUメーター(音量の測定器)風になっており、目の部分も録音機材のつまみのようにも見え、ジャズアルバムらしいアレンジが加えられています。

ひとこと

ファイナルファンタジーXⅣでは、2011年に追加された武器として、「南方大陸の民がこしらえた『太陽の仮面』を付けた『ダークライトプレプレ』」という杖を手にすることができるようになりました。当時その手作り感が話題になっていたようです。

展示場所

3階 おもちゃの部屋 展示中~2023年11月14日

参考文献、Webサイト