三浦朱門色紙「熊にまたがり」と阪田寛夫第一詩集『わたしの動物園』

(写真: 5枚)

(写真: 5枚)

わらべ館コレクション

発行年

色紙:不明    
詩集:昭和40(1965)年

紹介

「熊にまたがり 屁をこけば リンドウの花 散りゆけり」と書かれたこの色紙は、文化庁長官も務めた作家の三浦朱門(しゅもん) (1926~2017)が、阪田寛夫(1925~2005)の組詩「わたしの動物園」のうち「熊にまたがり」の一連をしたためたものです。

阪田寛夫は「サッちゃん」「おなかのへるうた」「うたえバンバン」などの童謡を作詞し、『土の器』で芥川賞を受賞したことで知られる文学者で、令和7(2025)年10月18日に生誕100年を迎えます。阪田と三浦の出会いは旧制高知高校時代に遡り、昭和25(1950)年には三浦朱門をリーダーに高校の仲間と小説同人誌『新思潮』(第15次)を創刊しました。その11号(昭和29年発行)に掲載されたのが、組詩「わたしの動物園」です。

「わたしの動物園」は、「てんとうむし」「河童」「マンモス」「熊にまたがり」「GORIRA」「からす」の6篇の詩からなります。阪田の第一詩集『わたしの動物園』(牧羊社、昭和40年発行)の帯文には、同郷の先輩作家・庄野潤三が「阪田寛夫の詩からシェイクスピアの十四行詩を思い出す人もあるだろう。萩原朔太郎やルナアルや竹久夢二を思い浮べる人もいるだろう。だが一読ふき出さずには居れないような関西の肉感的な言葉を氏が駆使する時、われわれは先ずその言葉に酔ってしまう。類を見ない詩である。」と寄せています。

ひとこと

旧制高知高校の同級生であった三浦朱門と阪田寛夫は、寮も一緒でした。戦後、阪田が東京大学文学部美学科に復学した際も、文学部言語学科に三浦が在籍しており、毎日のように会っては話をしていたそうです。二人の交遊は生涯続き、阪田の葬儀委員長は三浦が務めました。

展示場所

1階うたの広場(2025年12月16日まで「阪田寛夫生誕100年展」にて展示中)