へび

(写真: 5枚)

(写真: 5枚)

わらべ館コレクション

制作年

1980年代

制作

ハンス・ハップ Hans Happ(1889~1992)

素材

木、ワイヤーコイル

寸法(長さ)

45cm(伸ばした状態)

紹介

今回の資料は、当館と姉妹館協定を結ぶ「ヘッセン人形おもちゃ博物館」(ドイツ・ハーナウ市)から、年に1回行われる人形交流の品として、2025年に受け取ったおもちゃです。以下の紹介文は、おもちゃに添えられた説明文をもとに再構成しています。
 
この手作りの蛇は、作家が1980年頃に制作した動物玩具シリーズの一つです。蛇の各関節は斜めに切り込まれた木片をワイヤーコイルに通して構成され、木片の切断面の角度とワイヤーコイルの張力によって、多様なポーズが作れます。作者の入念な設計が、常に自然で解剖学的に正確な表現を可能としています。

作者のハンス・ハップは、まず画家としてキャリアを開始。ミュンヘン美術アカデミーで学び、1941年から1944年までフランクフルトのシュテーデルシューレ(高等美術学校)で教鞭を執りました。

戦後は画家としての成功が続かず、1930年代から手掛けていた玩具制作に専念することになります。幼少期から玩具の設計・制作にも情熱をそそいでおり、戦後は、特に高度なメカニズムを備えた紙・木製玩具に主眼を置きました。木材の美的造型と生命感ある動きを融合させ、動物や人間の表現において、芸術と工芸の統合を追求。特定の玩具の構造には数年をかけ、バージョンごとにメカニズムを改良しました。止まり木の上でごく自然な動きをする鳥のおもちゃの構造に関しては、特許も取得しています。

このように、工芸的かつ高度なメカニズムを備えたおもちゃは、大量生産には不向きでしたが、1959年から1965年にかけて、荷車付きの馬が、O.&M.ハウサー社からプラスチック製で販売されました。この馬は正しい歩様で前進する高度な機構を備え、歩くのみならず、頭を下げたり、横に動かしたりすることができました。
※歩様:馬の歩く様子、歩き方

本作のへびは、鳥や馬、豹などと同じ木のおもちゃのシリーズ品ですが、外側の鱗模様を模した彫刻は、他の作例と異なる特徴です。ワイヤーコイルで形に変化がつけられるので、本物のへびのように、長く伸びたり、鎌首をもたげたり、あるいはとぐろを巻いたりと、さまざまなポーズが可能です。

ひとこと

ハンス・ハップの画家としてのキャリアは、ドイツ国家社会主義と密接に関与していました。具象的かつ神話的なテーマや人物像、風景画の作品は、ナチスの指導的な党員に購入され、戦闘画やプロパガンダ画を描かなかったにもかかわらず、文化政策プロパガンダの一環で重用されました。

展示場所

3階ギャラリー童夢
おもちゃと遊びの企画展「姉妹館協定30周年 ヘッセン人形おもちゃ博物館展」
2025年7月17日(木)~9月15日(火)

参考文献