日光寫眞遊び

(写真: 4枚)

(写真: 4枚)

わらべ館コレクション

制作年代

1950年前後か

制作

不明(東京)

おもな素材

パラフィン紙、印画紙、厚紙、ブリキ、ガラス

紹介

日光写真は簡単に写真撮影を楽しめる科学玩具の一つです。準備するものは、黒地に白(無色)の線で描かれた絵(名刺大でパラフィン紙などの薄手の紙)。それと同じくらいのサイズの印画紙(感光紙)。それらを固定するガラス板のはまった枠(「焼き枠」とも)。そして、日光と水です。この絵が描かれた紙を「種板(たねいた) 」、印画紙を「種紙(たねがみ) 」とする文献のほか、絵の紙を「種紙」や「絵紙」とする記録や現物もあり、混同しやすいので、ここでは絵を「種板」、印画紙を「種紙」で表します。

遊び方は、種板を種紙の上に載せ、枠にはめて数分間日光を当てて感光させた後、種紙を水洗いすると、白い部分の絵柄が浮かび上がる、というものです。定着液につけないので、画像は徐々に薄れていきます。

日本では、まず明治末から大正時代(1912~25)に子供たちの間で流行。同13(1924)年には、日光に当てる角度を調整できるスタンド付きの「玩具写真用日光複写枠」の実用新案が出願されており、おもちゃとしての普及具合を示す一例とも言えます。駄菓子屋で売られていた印画紙は、フィルムメーカーによる不良品や半端ものが当てられていましたが、知的興味から、あえて印画紙を自作する科学少年もいたようです(『少年のふろく』)。

種板を見ると、明治時代には名所や旧跡、日清日露戦争の様子、花鳥などが描かれていますが、戦後になると、「写真」が珍しくなくなった時代背景からでしょうか、漫画や映画のキャラクターなどが主流となります。

ひとこと

種板は1枚の台紙に、名刺大の絵が7×3の21枚、花札大の絵が6×6の36枚など、さまざまな規格があります。駄菓子屋では種板と種紙を複数枚ずつセットにして販売されており、種紙は感光してしまわないよう黒っぽい袋や包みに入れられていました。

展示場所

わらべ館3F ギャラリー童夢 おもちゃと遊びの企画展「紙の遊びvol.2昔も楽しい紙工作」(2024年9月17日(火)まで)

参考文献

  • 『少年のふろく』 串間努著 光文社 2000年
  • 『日本人形玩具辞典(新装普及版)』 斎藤良輔編 東京堂出版 1997年