市松人形
(写真: 6枚)
(写真: 6枚)
昭和初期(1930年前後)
制作
不明
寸法(着用時)
幅40×奥行18×高さ87cm
おもな素材
本体/桐、着物/絹
紹介
この市松人形は、鳥取市民から寄贈を受けました。昭和初期(1930年代)生まれの寄贈者によると、京都に住む親戚から誕生のお祝いに贈られた裸の人形に、自身の初節句の着物を着せ、母親の婚礼衣装の刺繍半襟を帯に仕立てたとのことです。綸子(りんず)※1のなよやかな単衣(ひとえ)は、花柄の地紋の濃い青にバラやグラジオラスのような洋花が鮮やかに染められていて、昭和初期のモダンな雰囲気たっぷりです。その内側に着せられている綿入れの袷(あわせ)には、色とりどりの牡丹に八重菊などの大ぶりな花と亀甲柄が所狭しと描かれ、こちらは見事な和の文様となっています。紅絹(もみ)※2と思われる襦袢も金で模様が施され、当時の和装文化の一端を知ることができます。
現在「市松人形」として知られるこのような人形は、大正から昭和初期にかけて盛んに作られ、当時は「やまと人形」と呼ばれていました。頭部や膝下、前腕は桐塑(とうそ)と呼ばれる桐のおが粉を正麩糊(しょうふのり)で固めて成型されており、表面には胡粉が塗られています。眼球はガラス製、髪の毛には人毛が用いられています。こちらの人形は一般的な市松人形と比べるとかなり大きい方です。
- 綸子:紋織物のひとつ。絹の滑らかで光沢と粘り気のある染め生地。
- 紅絹:紅で無地に染めた絹布。(いずれも『広辞苑』より抜粋)
ひとこと
昭和2(1927)年にアメリカから贈られた「青い目の人形」の答礼人形として、同じ年に日本から平田郷陽などの優れた人形師が制作した市松人形が彼の地へ旅立ちました。その中の一体「ミス鳥取」は、平成元(1989)年の「’89鳥取・世界おもちゃ博覧会」に合わせて里帰りした後、新しく作られた男の子の市松人形「ミスター鳥取」とともにアメリカへ戻りました。
展示場所
3階おもちゃの部屋「ギャラリー童夢」 2023年6月18日(日)まで