セノオ楽譜No.157「庭の千草」

わらべ館コレクション

発行年

大正9年(1920)

発行所

セノオ音樂出版社

紹介

セノオ楽譜は、明治末期から昭和初期にかけてセノオ音楽出版社(主宰:妹尾幸陽)から発行された楽譜シリーズです。歌曲を中心に次々発行され、その数は実に1000以上といわれています。楽譜の形態は、歌一曲ごとに作られる「ピース楽譜」と呼ばれるもので、20銭~30銭という求めやすい価格でした。ほとんどの楽譜には、二重の円でうさぎを縁取ったマークとともに、“Senow”のサインが入っています。多くの表紙画を竹久夢二(1884~1934)が手掛けており、近年では音楽ファンよりも夢二コレクターが熱心に収集しています。

セノオ楽譜は、現在も親しまれているシューベルト作曲「アヴェマリヤ」、イングランド民謡「埴生の宿」などの西洋の歌曲を多く取り上げており、堀内敬三や里見義などにより訳詞が付けられました。また、妹尾らによって作曲家の略歴が付けられ、歌劇(オペラ)の場合は劇中で歌われる場面の解説も付されました。

今回紹介する「庭の千草」は一般的にはアイルランド民謡といわれていますが諸説あり、セノオ楽譜ではThomas Moore作曲と記載されています。日本では明治17年(1884)発行の『小学唱歌集(第3編)』に「菊」という曲名で掲載されました。

庭の千草(動画)

ひとこと

当時では斬新だった西洋の歌曲や竹久夢二の表紙画は、大正ロマンを代表する芸術の一側面です。

展示場所

1階 木造教室前(2019年12月末まで)