日本童謠全集(1)〜(6)

(写真: 5枚)

(写真: 5枚)

わらべ館コレクション

発行年

昭和12(1937)年

発行

日本蓄音器商会(現・日本コロムビア)

紹介

この6冊の冊子は、昭和12(1937)年に日本コロムビアが予約販売の形式で売り出した6枚組レコード(全6枚9圓)の附録です。4月から9月にかけて毎月発行されました。内容は下表のとおりで、清水良雄や武井武雄、初山滋ら当時を代表する画家が装幀を手掛けています。

A面 B面
その(1)
昭和12年4月20日発行
清水良雄 絵
かなりや(西條八十作詞、成田為三作曲、藤蔭静枝振付 赤とんぼ(三木露風作詞、山田耕筰作曲、澁井二夫振付)
その(2)
昭和12年5月20日発行
深澤省三 絵
子猿の酒かひ(葛原しげる作詞、小松耕輔作曲、印牧季雄振付) こそこそ話(水谷まさる作詞、杉山長谷夫作曲、林きむ子振付)
その(3)
昭和12年6月25日発行
小林哲夫 絵
靴が鳴る(清水かつら作詞、弘田龍太郎作曲、河野達郎振付) ざんぶりこ(林柳波作詞、宮原禎次作曲、今泉かほる振付)
その(4)
昭和12年7月20日発行
武井武雄 絵
日の丸萬歳(久保田宵二作詞、佐々木すぐる作曲、赤間雅彦振付) ねんねのうた(濱田廣介作詞、井上武士作曲、花柳壽美振付)
その(5)
昭和12年8月20日発行
福與英夫 絵
お月見(北原白秋作詞、藤井清水作曲、藤間勘素娥振付) ごむのまり(松原至大作詞、室崎琴月作曲、柿澤充振付)
その(6)
昭和12年9月30日発行
初山滋 絵
青い眼の人形(野口雨情作詞、本居長世作曲、石井小浪振付) 遠足(川路柳虹作詞、大中寅二作曲、賀来琢磨振付)

この冊子には1曲1曲に作者の言葉が付されており、例えば「赤とんぼ」では、作詞者の三木露風による「赤とんぼの思い出」と、作曲者の山田耕筰が「歌い方」についてアドバイスした次のような文章が掲載されています。

露風 『赤とんぼ』の中に姐やとあるのは、子守娘のことである。私の子守娘が、私を背に負ふて廣場で遊んでゐた。その時、私が背の上で見たのが赤とんぼである
耕筰 上手上手に歌はうと思はなくてもいゝのです。みなさんが、あのときは楽しかった、悲しかったと思ったら、それをそのまゝ歌へばそれが一番立派な歌になるのです

このようにレコードを聴きながらこの本を見ることで、作り手の思いや曲の成り立ちを知ることができるようになっています。また、12名の舞踊家による振付も掲載され、レコードから流れる歌にあわせて踊ることもできます。

ひとこと

昭和12年4月30日には新聞広告が掲載され、この6枚組のレコード購入者には武井武雄装幀の豪華アルバム贈呈とありました。

このアルバムには、全12曲の作者の写真も「童謡詩人の最高峰~日本童謠全集に輝く十二大先生~」「童謡作曲家の最高峰~日本童謠全集に輝く十二大先生~」として掲載されています。
また、レコードを収める袋も歌にあわせたイラストとなっており、感動!例えば「こそこそ話」は2人のひそひそ話が今にも聞こえてきそうな様が、「靴が鳴る」は手に花を持った5人の子どもたちが連なって遊ぶ様子が描かれています。

袋まで1曲1曲違う絵が描かれているなんて、まさに豪華ですね!

展示場所

1階 童謡コーナー(~2023年4月末まで)