『諸教科統合 尋常小学唱歌』第一学年(抜粋)

(写真: 8枚)

(写真: 8枚)

わらべ館コレクション

刊行

1914(大正3)年

編集

佐々木吉三郎、納所弁次郎、田村虎蔵

紹介

この本は100年ほど前に使われていた音楽の教科書です。学期ごとに上・中・下の三冊に分かれていたもの(1905年~1909年発行)をそれぞれ抜粋してまとめた『諸教科統合 尋常小学唱歌』が学年ごとに発行されており、これはその第一学年用にあたります。

編集は鳥取県岩美町出身の田村虎蔵と彼の仕事仲間であった佐々木吉三郎、納所弁次郎によってなされています。同書に教材として収録されている楽曲は主に三人による作品で、田村の代表作品である「金太郎」や「一寸法師」も収録されています。

『諸教科統合 尋常小学唱歌』では楽譜と歌詞のほかに、かわいらしいイラストがたくさん描かれています。特に物語を題材にした唱歌については、あたかも絵本かのような様相を呈しています。これも子どもたちが楽しく歌える唱歌の創作普及を目指した田村らが凝らした工夫のひとつであるといえます。

ひとこと

『諸教科統合 尋常小学唱歌』第一学年の最初に掲載されている曲「学校」は、唱歌に対抗しようとする童謡界隈から、幾度となくやり玉に挙げられた名(迷)曲のひとつ。特に北原白秋やサトウハチローは、無味乾燥なうえに「教場と庭が広ければよい学校とは何事だ」と名指しで批判しています。石原和三郎の作歌もそうですが、田村の作曲も彼にしては単調であることが否めません。田村自身も方々から急かされて勢いで作らざるを得なかった作品がいくつかあると回想しており、それらのクオリティに納得していない様子。「学校」も、もしかしたらそのような作品の中のひとつなのかもしれません。

しかしながら、毎度毎度童謡陣営から叩かれるほどに、この曲が当時有名だったことも事実。あなたはこの「学校」という曲について、どう思いますか?

展示場所

わらべ館1階 鳥取の音楽家たちの部屋