高木東六作曲 オペラ「春香」関連資料
(写真: 5枚)
(写真: 5枚)
昭和23年(1948)
出版社
(ピアノスコア)在日本朝鮮人連盟中央総本部出版局
(パンフレット)歌劇「春香」上演後援会
(随筆附オペラ台本)曹龍達
紹介
この3点の資料は、米子市出身の作曲家 高木東六の手掛けたオペラ『春香(しゅんこう)』に関するものです。(左よりピアノスコア、パンフレット、随筆附オペラ台本)
「春香」は朝鮮の全羅北道・南原(ナムウォン)を舞台とした古典文学『春香傳』をオペラ化したもので、300年ほど前の李朝時代、春香という娘と、夢龍による恋物語です。台本は村山知義(※)。高木東六が作曲したのは長野県伊那市に疎開していた時のことです。
高木は「春香」を2度にわたって作っており、この資料は2作目のものになります。というのも、第1作は、昭和14、15年に手をつけ、第三幕まで書き上げていましたが、戦禍によって焼失し、永久に幻となってしまったのです。文献や朝鮮音楽の豊富な材料があり、朝鮮の色彩を十分に盛った曲想となっていた第1作に対し、第2作は「材料と考証を無視した創作態度をとったのでぼくの感じたまゝの『春香』」となっており、「純粋な創作的な点では前者を遥かに凌駕していると思っている」、とプログラムの中で高木は述べています。
初演は、昭和23年(1948)11月20日。26日までの7日間で13公演が東京・有楽座で行われました。主役の春香を務めたのは大谷冽子と高柳二葉でした(Wキャスト)。戦後初の邦人オペラです。
プログラムやオペラ台本には練習風景や、オペラが作られる前に新協劇団員によって演劇として上演された様子も掲載されています。
215ページにもわたるピアノスコアは、全部英訳をつけて出版されており、高木自身も「消滅するようなことはあり得ないであろうとその点は心安らか」と語っています。
※村山知義は日本の小説家、画家、劇作家。
ひとこと
「春香」は、日韓ワールドカップが行われた2002年4月に、日韓文化交流公演として神奈川県民ホールで日韓両国の出演者によって53年ぶりに再演されたことでも話題となりました。
展示場所
1階「鳥取の音楽家たち」出入り口付近、「鳥取の11人の音楽家たち」の写真や機器の隣に展示しています。
(2022年8月末まで)
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