國民歌謠 第11輯《ふるさとの》
昭和12年(1937)
発行所
社團法人 日本放送協會
寸法
縦26cm×横19cm
紹介
「國民歌謠」は、昭和11年(1936)6月から昭和16年(1941)年2月にかけて大阪中央放送局(現NHK大阪放送局)により放送されていたラジオ番組です。楽曲は放送局の依頼により制作されたものが多く、月曜から土曜まで週6日、週替わりで1~2曲ずつを紹介する5~10分間の番組として放送されていました。
この番組では、《椰子の実》(作詞:島崎藤村、作曲:大中寅二)、《めんこい仔馬》(作詞:サトウハチロー、作曲:仁木他喜雄)といった、今なお歌い継がれる名曲も放送されていました。
また、「國民歌謠」は放送だけでなく全78輯149曲の楽譜も随時発行されており、その中の1曲が第11輯に掲載されている《ふるさとの》です。この曲は、童謡《赤蜻蛉》の作詞で知られる三木露風の詩集『廃園』(明治42年刊行)に収録の詩に、美術家としても活躍した斎藤佳三が曲をつけたもので、「國民歌謠」では昭和12年(1937)2月に三浦静子の歌で放送されました。ちなみに、この《ふるさとの》の詩には斎藤佳三の他にも、山田耕筰や石桁眞禮生など様々な作曲家が曲をつけています。
国民が広く愛唱できるような明るい歌を望んで制作された「國民歌謠」ですが、昭和12年(1937)頃からは、日中戦争開戦の影響もあり、楽曲は次第に戦時色が高まっていきました。
「國民歌謠」終了後は、「われらのうた」「國民合唱」と2度の改題を経て、昭和21年(1946)から昭和37年(1962)までは「ラジオ歌謡」として17年にわたり放送されました。
ひとこと
「國民歌謠」では、鳥取の音楽家が作曲した歌も放送されました。
- 《子守唄》作詞:三好達治、作曲:岡野貞一
- 《振え日本国民》作詞:河井粋茗、作曲:田村虎蔵
- 《ヒュッテの夜》作詞:深田久彌、作曲:高木東六
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