からくり人形「鞦韆(しゅうせん)」
江戸後期
製造会社
不明
紹介
「からくり人形」とひとことで言っても、ゼンマイ、水、水銀など動力は様々です。このからくり人形「鞦韆(しゅうせん)」は砂を動力に用いています。
はじめに、箱をひっくり返して砂を箱の天井に集めます。箱を元に戻すと砂が地面に向けて移動をはじめますが、今度は小さな穴から、砂時計のように少しずつ落下します。穴の下には水車のような構造の羽があり、砂がたまると重みで羽が回転します。羽の回転に連動して中心の軸が回り、軸(木の枝)につかまっている唐子人形(※)が、まるで鉄棒遊びのように飛び上がり→前回りを繰り返します。
なお、鞦韆(しゅうせん)は、ブランコの唐名で、「ふらここ」等とも訓読みします(ブランコの起源は古代中国まで遡ります)。ただし、このからくりの動きはブランコというよりも鉄棒遊びです。二本の腕で棒にぶら下がっている様子から名付けたのでしょうか。大正15年(1926)に創案された、同じく棒を使って回転するゼンマイ仕掛けの器械体操玩具も「ブランコ」と命名されています。
※中国風の服装や髪形をした子ども。見た目の愛くるしさや縁起物であることから、絵や人形のデザインによく使用された。
まめちしき
唐子人形など、異国風の衣裳を着たからくり人形も数多くあります。これは、海外の風俗が江戸の庶民の間で珍しさやめでたさの象徴とされていたこととも関係しています。当時の祭礼の記録などでも、中国や朝鮮の風俗を模した衣裳を着て行進する様子が描かれています。
また、異国風衣裳は鞦韆や段返り人形など、全身を使うからくり人形によくみられることから、動きをよく見せる上で袴よりも見栄えがするといった機能面での意味もあったものと思われます。
ちなみに「異国風」と書いたように、あくまで「っぽい」衣裳である点も、鎖国当時の日本人の外国人観を知ることが出来る貴重な資料といえます。
展示場所
3階 おもちゃの部屋(2019年8月10日~)
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